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―12年前―
「先生さようなら。みなさんさようなら。」
「桜ちゃん手つなごう。」
「うん。」
透と桜の母親が微笑みながら2人を見ている。
「大きくなったら結婚しようね。」
「うん。桜、大きくなったら透君のお嫁さんになる。」
「あらあら2人とも本当に仲良しね。」
気のせいか少し桜の母親の顔が曇ったように見えた。
「ぢゃあまた明日ね!
バイバイ」
透君達と別れたあと歩きながらお母さんが言った。
「桜は透君が好きなの?」
「うん!大好き!!!」
お母さんはしばらく黙り込み静かに口を開いた。
「桜ちゃんごめんね。もう透君と会えなくなるかもしれないの…明日からは新しいお父さんと一緒に暮らすのよ。」
「なんで?もう幼稚園に行けないの?」
泣きじゃくる桜の頭を撫でながらお母さんが言った。
「ずっと会えなくなるわけぢゃないの。桜ちゃんが大きくなるまでの間だけよ。それまで我慢してね。」
「ヒック…ヒック…さ…くら…我慢する」
「良い子ね。」
お母さんは桜の頭を撫でながら家に向かって歩き始めた。
「あの頃に戻りたいなぁ…」
そんな事を考えてるうちにバスは目的地の学校に到着した。
「まぢ だりぃ…」
キーンコーンカーンコーン~♪
学校が終わると桜は寄り道もせず家に向かった。
「ただいまぁ~♪」
「おかえりなさい。桜~透君から手紙が届いてるわよ~」
「やったぁ~♪」
引越してから桜は透と手紙交換をしていたのだった。
桜は自分の部屋に行くと透からの手紙を読み始めた。
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