一幕

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そしてついに『矢島』の札に辿り着きました。 中へ入ると、おばさまが待っていました。 「きょうこちゃん、よくきたね。ここまで長かっただろ、ひとまず部屋でお休み」 おばさまの家は仕事人が住み込めるよう専用の長屋があるらしく、私もそこに住まわせてもらえることになっています。 おばさまに続いて、長屋へ向かいます。 長屋は母家を通らないと入れないようになっており、 母家の裏側に、人目につかぬ場所にひっそりとありました。 昼間だというのに、とても静かで、人の住んでいる気配がありませんでした。
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