第一章

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座っていて動こうとしない中野に、一人の男が声をかけた。 外山「中野、何してんだ?もう教室帰るぞ。」 中野「外山・・・」 コイツは外山ミキヒロ。 部活は中野と同じ映像研究部。 中野「ちょっと・・・考え事を・・・」 外山「ほのかちゃんのことか?」 中野「・・・」 中野は何も言えなかった。 外山「お前の気持ちも分かる。だがな、うじうじしたってしょうがないだろ?」 外山は中野に言葉を続ける。 外山「好きだったら、会いに行けばいいだろ?」 中野は外山には全部を話していた。 話さなければ、自分がどうにかなりそうだったから。 誰かに聞いてもらいたかった。 中野「別に、俺と仲西はもう何でもない。あかの他人なんだよ。」 外山「それでも好きなんだろ?」 中野「・・・ああ。」 外山「だったら何で?」 中野「・・・恐いんだ。」 外山「恐い?」 中野「ああ。もし仲西に彼氏が出来てたらって思うと・・・不安に押し潰されそうなんだ・・・」 外山「・・・」 外山は何も言えなかった。 外山「とにかく、教室戻ろう。残ってるの俺たちだけだし。」 中野「ああ・・・」 二人は教室に帰っていった。
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