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「それでも隣国ではまずあるまい。この十数年はどの国とも和平を受け入れて腹の内は分からんが表面上は穏やかだったはずだ…」
シャルロットは部屋に戻りかけて兵士達の会話を耳にしていた。
「どうやら革命の口上を述べているらしいぞ!」
「だめだ!もうあんな所まで来ている!」
シャルロットも窓から外を覗いたが、得体の知れない軍隊はもう目と鼻の先である。
こんな異常な事態は生まれて初めてで、一体何を備えれば良いのか分からなかったが、とにかくアンヌを探そうと思い、シャルロットは兵士達を押しのけてアンヌの姿を探し始めた。
部屋に居てくれれば助かるのだがこの騒ぎに動き回っている可能性も考えられる。
彼女を連れて城を脱出する事も頭に入れておかなければならない。
「シャルロット!」
女中頭のコルベーヌがすれ違い様にシャルロットを呼び止めた。
「アンヌ様がお部屋にいらっしゃらない!こんな時に…」
普段の冷静で厳しいコルベーヌからは想像もつかない位の狼狽えぶりだった。
「ああ、違う…とにかく王や王妃の所へ…」
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