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時計
時計の針が止まった
ちょうど十二時で
ぴたりと
止まった
私は時計を
もう一度動かそうとは
しなかった
ひとりでにまた
動き出すと信じていた
望んでいた
「針よ、動け」
重ね重なる今と過去
自分の軸がぶれていく
時計が動けば私も動く
そう勝手に信じたかった
十二時で止まった時計
取り残された私
私はその場にうずくまり
動かない時計を見上げ
そっと
そっと
自分の手で
針を動かした
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