最後の方舟

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《言葉を失ったなら、ちょうどいい、 そっちの方が意思が正確に伝わるからな》 混乱した王子の脳に直接言葉が響いた。 《我々はエレ星人、宇宙遵法執行官だし。》 《会話は全てテレパシーだもんね。》 「え、エレ星人?!」 (だし、とか、だもんね…って?) 心の中でツッコミを入れる。 《うーんと、えーっと、あのね… 我々は高知能だから、低能な地球人にあわせて言語変換してる。 だから、もしおかしいならば、地球人の言語が未熟なせいだ!》 赤い光りがチカチカして、まるでパトカーに囲まれているようだ。 銀色の宇宙服を着た2人のエレ星人はテレパシーのボリュームを上げてこう言った。 《ズーマ王、宇宙維持法により逮捕するっ!》 エンジン停止によって、温度が下がり始めた船内の空気は一瞬にして凍りついた。
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