最後の方舟

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「やられた! またしても、国際問題評議会のヒゲ面どもめ…」 今年172歳のズーマ王は頭を壁に打つほど悔しがった。 エレ星人の話では、すでに勧告が済んでおり、最後に残った代表者が処罰されることが決まっていた、と言うのだ。 「父上。」 スーア王子の目に涙がにじむ。 エレ星人に処罰の不当を訴えたが、ムダであった。 「しっかりしろ、スーア王子。 お前がこれからのマーマヤーナ23万国民の長なのだぞ! しっかりしないでどうする?」 涙が止まらない。 エレ星人のおかげで地球の引力からは逃れたものの、エンジンは不調のまま。 しかも、移民先のブリン星は地球人とは違い過ぎる先住生物がいて、移民はムリだとわかった。 地球には帰れない以上、10年間当てのない漂流をして、死ぬのを待つしかない。 若いスーア王子には辛過ぎる現実だった。 「真に憂慮ずべぎ…ぐすん。」 156歳の執事セバスチンも、王が囚われることに耐え切れず、啜り泣いていた。
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