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「そ、うか…」
「はい。それでキョン君にお話があって、」
話の内容がすぐ浮かんできて、それ以上古泉の話を聞きたくなくなり思わずきびすを返して走り出してしまった。
「っ、キョン君!」
せっかく、自分を追いかけてくれて掴まえてくれた手を振り払ってまで、
俺は、この場を逃げ出したかったんだ。
「何で、あんな顔…っ」
好きな人がいる、と告げた時の奴の顔が頭から離れない。
(彼の心からの笑顔は自分だけのものだと思っていたのに、)
よく考えると、俺達が互いに思いを伝えずに事にはこんでいたことに気付き、俺は酷い虚無感に襲われた。
(体だけ…)
考える度に、そんな言葉しか頭には出て来なかった。
___________
続きます。
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