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†旅†
『はーい!!安いよ安いよ!!』
俺は道行く人々に声をはる。
家で採れた野菜を売る為に。
しかし、売れないのだ。
理由は分かっている。
・・・・
高すぎるのだ。
13PuGで買える林檎が
24PuGで売っている。
母さんの薬を買うには金がいる。
だけど、本当に時々しか売れなくて、薬を買う事ができない。
だから、母さんは弱っていくばかり…。
《スッ》
『…!?……あ、いらっしゃい』
白く輝く銀髪、透き通ったブルーの瞳、身長に似合わず細すぎる体。
おまけに、口は太めの糸で縫い合わされている。
そんな客は、林檎を1つもち、俺に合図した。
『こ……これか!!林檎なっ!!』
俺は何故か慌てて、その林檎を落としてしまった。
『あぁ!!すみません!!新しいのをー…』
新しく、かごの中で並んでいた林檎に手を伸ばした俺の腕はその客に阻止された。
目が、
“それでいい”と
言っていた。
俺はその目に引き込まれて、ボーッとした。
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