2/6
前へ
/15ページ
次へ
   独りきり   ポツンと、ただ其処に居るだけ   ただ其処に存在(あ)るだけ   最初はサミシかった 淋しい、と 呟いた   だけど   “サミシイ”は“ワガママ”だと   “サミシイ”は“ダメ”だと   そう 教えられ   呟く事すら 禁じられた       「お父さん」は   皆には 当たり前にいた   私にはいないと解ると   “カワイソウ”と言われた   幼い私には当たり前だった   「お父さんはいない」という事が   “カワイソウ”と   幼い私の“ガマン”だと   大人達は哀れみの瞳で見ていた   私は“それ”の理由を知らない   幼い子供の私には   「お父さん」がいない私への   “カワイソウ”の理由が解らない   ただ   その言葉の裏に含まれるものが   良いものではない事だけ感じ   少し 哀しかった     “カワイソウ”は“哀しい”   幼いながらも 少しずつ   それを理解していった      
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加