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しかし、女将さんは私に予想外の言葉を投げかけてきました。
「シェリーは見たんだね? あの、孤高の竜騎士を!」
「……孤高の……竜騎士?」
まるっきり初めて聞く言葉でした。ここが異世界だということを改めて強く実感させられ、帰る手段、という現実が頭をよぎりました。
しかし、騎士――私はなんとか心を落ち着かせ、冷静に記憶を辿ってみましたが、竜の背に人が乗っていたかどうかまではどうしても思い出せなくて。
「あの、女将さん。その、孤高の竜騎士、とは?」
やはりどうしても思い出せないので、私は素直にそう尋ねたんですが、あのときの女将さんの驚愕した顔、一生忘れられません。あんぐりと口を開けて、放心しているような顔。顔だけではありません、信じられない、と全身で表現されていたのです。
「あんた、よく竜騎士を知らずにここまで旅が出来たねぇ……」
私はその発言を聞いても首を傾げることしか出来ませんでした。そう言われても、分からないものは分かりません。
「そんなに、有名な方なんですか?」
気になった私が再び尋ねると、女将さんは丁寧に『孤高の竜騎士』について教えてくださいました。
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