盲目のシンデレラ

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「シンデレラ!こんなところにいたの!?」 会話を遮るように継母がやって来る。 「姉さんたちの世話をしようと思わないのかい!?」 継母は怒鳴りながらシンデレラに歩み寄った。 「おまけに盗人サンドリヨンなんかと一緒だなんて!」 継母は男を見て、更に険しい顔に変わった。 「お前なんてこうしてやるわ!」 継母は怒りに任せてセンスを振り上げた。 男は素早くよけると、継母はバランスを崩し、美しく咲き乱れる薔薇の中へ落っこちてしまった。 「ぎゃああっ!!」 鋭い叫び声を上げながら薔薇から這い出る継母の両目から血が滴り落ちる。 薔薇の棘が刺さったのだ。 「お気の毒様。」 男は冷たく言うと、恐怖で声も出ないシンデレラを城内へ導いた。 そして近くにいた兵隊に継母が庭で怪我をしたことを伝え、自分はシンデレラに別れを言う。 「お幸せに」 シンデレラは震えながら男を見上げる。 「長年の敵はとったよ」 男は満足そうに笑うと、城を後にした………
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