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可哀想なシンデレラ
男はシンデレラの寝顔を見つめながら朝の気配を感じ取った。
朝がやって来る。
今日が始まる。
可哀想なシンデレラ…
けれど彼女は起きなければならない。
さもないと更に恐ろしいことが待っている……
「う、ん…」
灰だらけの寝床でシンデレラが目を覚ました。
男は窓の枠に腰をかけ、
「おはよう、シンデレラ」
とあいさつをする。
「え?あら、どなたかしら?」
シンデレラは声のするほうへ顔を向けた。
しかしシンデレラの目には何も映らない。
彼女は目が見えないのだ。
男はそれを知っていた。
「ここに住んでいるネズミだよ、シンデレラ」
男はそういうと、シンデレラに手を出すよう言った。
シンデレラは両手を出し、男が何かするのを待っている。
男は床にいたネズミをひょいと摘むと、ポンとシンデレラの手に乗せた。
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