盲目のシンデレラ

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ギチギチと音をたてて短剣は肉を裂いていく。 切断が終わったころには長女は気絶していた。 継母は傷口にガーゼを当て、ストッキングを履かせ直すと、長女を起こした。 「いいこと?痛いのなんて今のうちなのだからね。ちゃんと芝居しておいで。」 継母はそう言うと、靴を履かせ、長女に客間へ行くよう指示した。 「う…」 踵が痛むが、長女は客間へ入って行った。 「ど、どうです?…私がシンデレラよ…」 笑顔が引きつるが、長女は何とか笑う。 「おぉ!ピッタリですな!」 家来は目を輝かせる。 しかし家来の中の1人がストッキングに血が滲んでくるのを見つけてしまった。 「あなたはシンデレラじゃない。シンデレラならどこも切らずに入ります」 それを聞いて長女はあまりの痛さ、あまりのことに再び気を失った。
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