盲目のシンデレラ

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家来たちはシンデレラを城の馬車に乗せると城を目指し、出発した。 「この盗人サンドリヨンめが…」 継母は悔しそうに男を睨んでいる。 「よく気づいたじゃないか。」 男は笑う。 「最も、この街でサンドリヨン(灰かぶり)の名前を持つのは俺とシンデレラくらいだけどね」 男は継母を睨む。 それからふわっと笑みを広げた。 「これから゙頑張ってね゙。さようなら」 男は客間のドアを開けた。 リビングからは姉たちの苦しむ声が聞こえている。 男はそれを無視して外へ出た。 継母を唆したのは自分。 もうシンデレラは会ってくれはしないだろう。 「幸せになるといいな」 男は少し遠くに見える城を見上げた。 シンデレラが幸せならそれでいい。 もう辛い思いはしなくていいんだ。 男は足取りも軽く、街へ駆け出した………
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