盲目のシンデレラ

男は自宅に帰るとパンとハムを食べ、再びシンデレラの家へ行った。

「シンデレラ！シンデレラ！」

姉たちの怒鳴り声が家中に響く。

「何をしているの！？シンデレラ！早く掃除をやりなさい！」

「洗濯もまだ終わってないわよ！シンデレラ！」

その怒鳴り声を聞きながら男はシンデレラが戻って来るのを待っていた。

ポケットにネズミを入れて、シンデレラに与えられた粗末な部屋を綺麗に掃除しながら………

またある日。

「お待たせ、ネズミさん」

その日もシンデレラは掃除、洗濯、継母や姉たちの朝食の支度を終えて戻ってきた。
男は

「お疲れ様、シンデレラ」

と言ってネズミをポケットから取り出す。
シンデレラが床へ座り、チーズのかけらを手のひらへのせると、ネズミはチューチュー言いながらシンデレラの手へ登り、チーズを食べ始めた。

「美味い、美味い」

男は笑って言うと、今日街で聞いた最大のニュースを伝える為に、ネズミをシンデレラの手から床へ誘導し、ポケットへ入れた。