盲目のシンデレラ

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結婚式当日。 招待状と手紙を受け取った男は、城の庭でこっそりと結婚式を眺めていた。 シンデレラが笑っている。 嬉しいことだ。 しかしもっと嬉しいのはシンデレラが自分を結婚式に招待してくれたことだった。 結婚式のパーティーに疲れたシンデレラは庭のベンチに座った。 「幸せかい?シンデレラ」 男の声にシンデレラは顔を上げる。 「ネズミさん?」 小声で訊ねると、男は「そうだよ」と笑った。 「来てくださったのね、嬉しいわ。ありがとうございます」 シンデレラが微笑み、男はシンデレラの隣へ腰掛けた。 「城の暮らしはどうだ?楽しいかい?」 訊くと、シンデレラは大きく頷いた。 「でも1日中何も家事がないの。お手伝いしようと箒を持ったら怒られてしまったのよ…」 シンデレラの言葉に男は笑った。 急に家事がなくなったので暇らしい。 しかし以前より顔色が良くなったように感じる。 やはりあれだけの仕事を1人でこなすのは大変なことだったのだろう。
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