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「はーい、どちら様ですか?」
そう言いながら玄関の真ん中より上についているレンズを覗いてみる。
「黒貴欄です」
たしか同じ大学に通っている人間だ。記憶にある。
たしか同じマンションの隣の下の部屋に住んでる人で、大学では成績優秀、スタイル抜群、性格文句なしで有名な女性の内の1人って親友の良尚(よしひさ)が言ってたっけ…
ガチャ
ご近所付き合いもあるし、取り敢えず玄関を開けて話をするべきだ。
「はい、何でしょう?」
「あの…ずっと好きでした。…付き合ってもらえませんか?」
バレンタインデーだからってチョコを前に突き出しながらいきなりこれだ。
………あぁ、そうか…こいつ…あれだな?
俺のこと騙そうとしてんだな?
バレンタインデーに敏捷して 。
「すいません、お断りします」
きっとそうさ
「えっ?…あっ、ごめんなさい…」
ほら、目に涙が溜まってる。女の最終手段だ。
それくらい今まで生きてきた俺の経験と感と彼女のいる友人からの情報などを統合した結果から導き出された方程式から推測できるさ。
「あの、ごめんなさい…じゃあチョコだけでいいから受け取って貰えるかな?」
笑顔になった。
女性は感情の扱い方が上手いな…感心できる。
「ああ」
ここで変な対応して俺の世間体が悪くなったりしたら困りものだしな。一応礼儀正しく。
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