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『儚』
*
その日一日を送る中で
時折
昔の恋を思い出す
“恋”と言えるのか
正直分からないほど
あの人とのことは
あやふやなものだったけど
大好きな胸に抱かれるのは
嫌いじゃなかったし
考え方がおかしいと言って
心がすれ違ってしまった時も
なかなか逢えずに苦しんだ日も
確かに愛しかった
働いている時でも
休みの日でも
その日一日を送る中で
時折
息を飲むことがある
携帯電話の画面を見るたび
街角の車を目で追うたび
エレベーターの扉が開くたび
あなたが
現れるのではないかと
*
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