4012年―グラード国郊外1 [リィ]

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居間に静けさが残る まるで嵐が通り過ぎたようだった 「本当に聖職者?」 「…らしいです」 「父ちゃんにだって殴られたことないのに」 ムスっとしてゆうりが言う 「あれっ?」 くんくん 着ている服の匂いを嗅ぐゆうり 「この服俺のじゃない」 (今…匂いで判断しましたか?) …しかしリィは既にこの手の奇怪な行動には慣れたようであった 「…あなたの服は洗濯させていただきましたよ」 …いい奴かも 小さな声でゆうりはボソッと言ったが、残念ながらリィには届かなかった もともと伝える気がない言葉ではあったが 「リィ!ミサに行こうよ」 「え?!」 ゆうりの目は輝いている ミサが物珍しいのであろう 「静かにしてればいいんだろ?」 言うより先に、既に歩き始めている 「GO!」 自由奔放なゆうりに逆らえず、リィは先導車に続くマラソンランナーのようについていった
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