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「はー…つかれた~」
一人ごちながらロバを引いて少年が山道を歩いている
ロバの背中には今にもこぼれ落ちそうな沢山の荷物が積まれていた
とても長閑な光景である
秋とはいってもまだ暖かさが残る風が、少年の少し長めで細く薄茶色の髪をサラサラと撫でた
ブツブツ
「ヴァシリ…人使い荒いな…」
ブツブツ
(あれで本っ当に聖職者なのか?)
しかしその疑問について考えようとするより前に、道の端の大きい雑巾が少年の目に入る
「ぬ?」
少年は髪の色より濃い茶色の目を凝らしてよく見てみる
彼は細い吊り目であるせいか、顔立ちはシャープである
動物に例えるなら間違えなく狐だ
そんな少年は、ようやく雑巾でなく、人が倒れていると理解した
…そもそもこんな山道に雑巾が落ちているわけがない
「大丈夫ですかっ?」
恐る恐る近づき、様子を見る
微かに肩が上下し、呼吸をしているのがわかる
こんなところで行き倒れるなんて、訳ありな人であろう…
…しかし放っておけない
少年は、すぐに答えをだした
「村は近いですよ!頑張れ!生きるんです!!」
見捨てることもできたはずたが、どうやら少年はそれができない性格なのだろう
少年は雑巾のような薄汚れた人物を背負い、帰路を急いだ
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