密会

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どこかで侮っていた。 主上など育ちの良いただの苦労知らずの子供だと。 あの目…………………… 伊周のような軟弱な目ではない、女を守る事の出来る男の目だ。 汚い事も意に添まぬ事もかいくぐってきた人間にしか出来ない目………。 父の藤原兼家、の目だ。 風も吹いていないのに背中に冷たさを感じる。 主上を侮ってはならない。 考え込む道長の目は懐仁の目と酷似していた。
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