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一二月一六日、雪がしんしんと降る寒い夜に中宮定子は無事に身二つとなられた。
女御子でありました。
女房の中にはふとどきにも男御子でなかった事をあからさまに残念がっていた者もいたのでしたが、可愛らしい女御子の御誕生に久しぶりに中宮の御前は華やいだ笑いに包まれていたのでした。
主上からは朝、昼、夜と関係なくひっきりなしに文が届き、主上付の女房方が命を受け御子様の御様子を御覧になっていかれました。
中宮様は初めての御産を終えられて益々清らかな美しさを供えられ、近くに侍る女房方も息を呑む事がございました。
主上からの文を御覧になる中宮様は、長く見せる事がなかったやわらかな微笑みを取り戻されたのでした。
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