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それでも人の目は色々な所にあり、主上に中宮様の事をお知らせした者がいたのです。
主上は清涼殿の隣の殿舎にある後涼殿の女官の部屋をいずれかに移しそこに中宮の御前所にされました。
主上は
「宮が気にする事でない」
と仰られましたが、部屋を取られた女官は中宮様に対し憤りを感じられたそうでした。
御所内の空気はけして中宮様に取って好意的ではございませんでした、が、主上の腕の中にいらっしゃる間だけ中宮様はあの柔らかな笑みを浮かべて身を任されておられたのでした。
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