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｢…酒を｣
道長様はわたくしのもとへ来るなりそう発せられました｡
数日前より道長様は忙しい合間を縫ってわたくしのもとにいらっしゃっていた｡
何も語ろうとはなさらずに､唯わたくしの肩を抱きひたすらお酒を煽られる｡
そして必ずわたくしに酒臭い息のまま朝まで離さずに抱かれた｡
道長様の事が嫌いな訳ではない､女として一人前に愛されたいとゆう欲望もある｡
唯､道長様がわたくしの向こうに描いている女人対しわたくしはどういう態度を示したらよいのか判らなかった…
だから…わたくしは素直に道長様の胸に飛び込んでいけなかった｡
躰を開いても心が開けなかった｡
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