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そして、夜の清涼殿では若いお二人が引き裂かれる運命から逃れようとなさってました。
「主上……わたくしは明日早く退出しなければなりませぬ……もぅ……」
定子の身体がぐらり動き柔らかな単が胸元からはだけた。寝間の空気が甘く匂いたち一条帝は定子を腕の中にかき抱いた。
「まだだ、私のそばから離れていくな」
「……」
「宮を離せない、あなたは私の唯一人の中宮。道隆が亡き今、あなたが頼りすがるのは私だけだ」
一条帝は再び中宮の白くなよやかな体に溺れた。「 …懐仁… 様… 」
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