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定子はいつからか年下の弟のような少年が自分が頼るべき唯一人の男となったのに気づいていた。
憧れもなく唯一人で藤原道隆の娘として入内し少年の主上を導いた…
添臥しとして夜具の中で行う事もわたくしが教えた少年…
春の様な穏やかな日々にもの足りなさを感じた日もあったが…
自分の女を散らせ、抱きしめたあの男…たった一度のせわしない逢瀬、今も覚えているあの方の匂いと手の感触
あの方の北の方になればどんな人生を送ったであろう?
そしてあの方はわたくしを追い詰めた方になった。
今はもう主上の腕内に守られるのが心地よく次第に自分の体を滑る手に我を忘れていった。
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