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詩織は深々とソファーに座り、動く気配がない。
今は生徒は授業を受けている時間なのに…。
『中村…教室に行け。このままだと進級出来ないぞ。』
『先生、心配してくれてるの?』
『一応、副担だからな。』
そう言うと、詩織は頬を膨らましてムスッとした。
『じゃあ行かない!授業が終わるまでここに居る。』
オイオイ…
勘弁してくれよ。
誰か来たらどうすんだよ。
赴任して早々、問題になるだろうが…。
『いいから教室に行きなさい!』
詩織の我が儘な態度に苛つき、つい声が大きくなってしまった。
詩織はその声に驚き身体をビクつかせ、恐る恐る俺の方を向いた。
その顔は今にも泣き出しそうで、詩織と初めて出逢った時の事を思い出した。
『はぁ…大声を出して悪かった。』
『じゃあ♪』
『それとこれとは別だ。教室に行きなさい。』
詩織はシュンとして、仕方無くと言った感じで「はーい」と返事をして、準備室を出て行った。
はぁ…
毎日…毎日…疲れる。
近頃の高校生は何を考えてるか分かりゃしない。
10個近くも離れていれば当たり前か…。
でも今からこれじゃ先が思いやられるなぁ…。
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