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心にぽっかり穴が開いた様な、そんな気持ち…。
でも、詩織の事を考える度に教師という二文字が、頭に浮かんでは消える。
そして…
もう一人の俺が、これ以上は駄目だと止めに入るんだ。
しかし、俺の詩織に対する気持ちは日に日に大きくなっていった。
この気持ちは忘れなければ…
好きじゃない…
自分の生徒…
俺は自分に暗示をかけるように、毎日繰り返した。
詩織が現れなくなって1ヶ月が過ぎた頃、俺は放課後いつも通り準備室で仕事をしていた。
コンコン…
不意にドアをノックする音が聞こえ、下を向いていた顔を上げ、ドアを見る。
詩織…な訳ないか。
俺もいい加減、忘れないとな…。
一旦は上げた顔をまた下に向け、ノックした相手に「開いてますよ。」と、中に入るように促した。
ガチャ……
パタン……
ドアの開閉する音を確認して顔を上げた。
『どうし……』
声が出なかった。
『……先生?』
何で詩織が…?
頭の中が真っ白になって、何が何だか分からずにいた。
『先生面白い♪鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔してる。』
そう言って、詩織はクスリと笑った。
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