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理央ら4人は
春季が目を覚ましたのを確認して
春季の体を起こした。
「ねぇ。ここ何?どこなの?バスは?」
誰も春季の質問に返事をしてくれない。
周りを見ると、春季のように
起こされている者、
まだ寝ている者、
自分で気づいて目を覚ました者、
何事かと話をしている者たちの姿があった。
そして、それはみんな級友だ。
ふと気づくと、
みんなの首に何かついてる・・・・?
春季は嫌な予感がして、
自分の首にも手を触れてみた。
ヒヤッとした物が手に触れた。
「ちょっと…待って…これって!!」
晶…晶はどこだろう…
春季は慌てて晶を探した。
「瀬川・・・・」
後ろを振り返ると、
晶と玲次がいた。
「神田…!これって、
これって・・・・まさか?」
晶は力なく頷いた。
「嘘…なんでよ…
なんで私たちなんよ?!」
「瀬川…落ち着けって。
大丈夫…だろうから…な?」
「でも・・・・!」
理央らには2人が何を言い合っているのは
全くわからなかったかもしれない。
春季は一番の親友であり、
一番信用できる理央にさえ、
兄が“アレ”に選ばれて
死んだことを話さなかったのだ。
晶が何か言おうと、
口を開きかけたとき、
部屋の扉が開いた。
「全員、座れ!」
兵士のような男が叫ぶ。
その後ろからはまた兵士、
そして足を引きずった男。
そしてまた兵士・・・
兵士・・・兵士・・・・・
生徒たちは床に座った。
「よし。でわ、お願いしますね。」
春季は目から涙が出てきているのに気づき、
あわてて下を向いた。
「はい。」
ふと、この声を
どこかで聞いたことがあり、前を見た。
そこにはいなくなったはずのあの人がいた。
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