01―続いてほしい笑顔―

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気分がよくなる天気だ。 そんな空を見ていた瀬川春季(宇治T中学二年四組女子七番)は 空白がうまらなくて困っているテスト用紙に目を戻した。 何度見つめても答えは出てこない… 春季は諦めたのか、また空に目を向けボーっとした。 テスト用紙は集められ、これで二年のテストは全て終了だ。 春季の席へ親友の酒井理央(女子六番)が来た。 「や~~っと終わったー...」 「うーん...今回めっちゃムズくなかった?」 「まぁ、終わったんやし、忘れよー  もう思い出したくもない...」 「だってさ、ここ.....」 「終わりー!テストの話はするなー!」 そんな2人のところに、 葛西美咲(女子三番)、津川玲央奈(女子九番)、山田凛(女子二十一番)が来た。 「ねぇ、テストも終わったし遊びに行こうよ」 「行こう!春季も来るよねー?」 「もちろーん」 「じゃあ、今日ね....」 春季は小さいころに10歳も年が離れた兄を突然失った。 兄は優しく、春季は大好きだった。 両親は兄がいなくなった理由を教えてはくれなかったが、 小学校のときに習った授業で 兄の死因がわかってしまった... 兄の死因がわかってから、 落ち込むことが多くなったのだが、 今はこんなに楽しい友人に囲まれて春季は毎日笑っていた。 ずっと...ずっと、笑っていたいと思った...
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