23―過去―

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静まり返った島にまたあの声が響きだす。 「0:00です。とうとう3日目だ。  後11時間ほどで最後の1人になるようがんばってください。  死んだやつの名前を言います・・・・・・」 ぷつんと音がした。 マイクを切った音だ。 「瀬川担当官お電話です。」 「誰からだ?」 「杉村様です。」 「・・・・・わかった。」 夏彦は受話器を握った。 「はい。」 「やー瀬川!久しぶりだねー」 夏彦は一瞬嫌な顔をしたが、いつもの何もない声で 「はい。その節はお世話になりました。」 と、言った。 「いやね、君が今回のプログラム担当官をしてるって耳に入ってねー電話してみたんだよ」 杉村という男は『けらけら』と変な笑い方をした。 どうやら夏彦はその笑い方が嫌いみたいだ。 「で。まー君はプログラムの後家族を捨てただろ?  だから関係ないだろうけど今回のプログラムには君の妹がー?」 「たぶんですけどね。  私はもう長い間家族のことを知らない。忘れましたよ・・・・」 「そー言えばあの時小3?4だったかな?君、開始前に言ってたねー  “家には僕の帰りを待つ小●の妹がいます。帰らせてくれ”ってねー」 「そうでしたか?」 杉村はまたけらけらと笑う。 「言ったぞー。で、俺が  “じゃあ、殺して生き残りなさい”って言ったら  本当に生き残ったもんなー。  でもなぜお前は帰らなかったんだろうな?」 夏彦は赤の7の点を見つめて言った。 「プログラムが終わったとき、私は本当は死んだ。  私ではない私で家に帰ることは無理です。だからですよ。」 「ほー。まぁ、君は人生の勝ち組。  今こうしていられるのもあのとき決断したからだ。今の暮らしは悪くないだろう?」 夏彦はニヤッと笑った。 「ですね」 杉村はまたけらけらと笑った後小言を言い電話を切った。 【残り20人】
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