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静まり返った島にまたあの声が響きだす。
「0:00です。とうとう3日目だ。
後11時間ほどで最後の1人になるようがんばってください。
死んだやつの名前を言います・・・・・・」
ぷつんと音がした。
マイクを切った音だ。
「瀬川担当官お電話です。」
「誰からだ?」
「杉村様です。」
「・・・・・わかった。」
夏彦は受話器を握った。
「はい。」
「やー瀬川!久しぶりだねー」
夏彦は一瞬嫌な顔をしたが、いつもの何もない声で
「はい。その節はお世話になりました。」
と、言った。
「いやね、君が今回のプログラム担当官をしてるって耳に入ってねー電話してみたんだよ」
杉村という男は『けらけら』と変な笑い方をした。
どうやら夏彦はその笑い方が嫌いみたいだ。
「で。まー君はプログラムの後家族を捨てただろ?
だから関係ないだろうけど今回のプログラムには君の妹がー?」
「たぶんですけどね。
私はもう長い間家族のことを知らない。忘れましたよ・・・・」
「そー言えばあの時小3?4だったかな?君、開始前に言ってたねー
“家には僕の帰りを待つ小●の妹がいます。帰らせてくれ”ってねー」
「そうでしたか?」
杉村はまたけらけらと笑う。
「言ったぞー。で、俺が
“じゃあ、殺して生き残りなさい”って言ったら
本当に生き残ったもんなー。
でもなぜお前は帰らなかったんだろうな?」
夏彦は赤の7の点を見つめて言った。
「プログラムが終わったとき、私は本当は死んだ。
私ではない私で家に帰ることは無理です。だからですよ。」
「ほー。まぁ、君は人生の勝ち組。
今こうしていられるのもあのとき決断したからだ。今の暮らしは悪くないだろう?」
夏彦はニヤッと笑った。
「ですね」
杉村はまたけらけらと笑った後小言を言い電話を切った。
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