美しい悪意の造り方

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Kは、どっしりと腰が抜けた様にチェアに座る。 眉間に指をあて、これまでの事を考えようとした。 その時…ビー、ビーと玄関のチャイムが鳴る。 Kはゆっくりと腰を上げ、玄関に向かった。ドアを開けると、若い天才芸術家がいた。 彼は、挨拶もせず、すぐに部屋に入っていった。そして、動揺しているKに振り向き言った。 「分かった。分かったよK。妻の愛人が!この写真を見てくれ。妻とその男が写ってる!!畜生!何てことだ!ボクはやっぱり裏切られていた。彼女を愛していたのに!」 殆ど、一呼吸で叫ぶ芸術家。 彼はKに写真を突き出した。 Kは驚愕した。 確かに、写真には二人写っている。男と女。幸福そうな二人の笑顔。 女は、絶世の美女。 男は、天才芸術家。 つまり、目の前の彼だ。 Kは、待てと言おうとした。待ってくれとも言おうとした。 だが、その時、急に頭痛がした。悪寒がした。 写真の男は、目の前でなおもKにまくしたてた。 「K!手伝ってくれ!どうか、僕を手伝ってくれ!裏切りの人誅を悪妻とこの男に!!K?おい、K??ー」 そこで、Kの意識は途切れた
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