序章

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やり取りの間にも、夕充の手の平の光は増し、直径10cmほどの光球が出来ていた。 ゆっくりと光球は大きくなっていく。 「……建由を、……殺さないでくれ」 切なる願いだった。 一方の夕充は、何を言われたのか解らなかったのか、キョトンとしている。 一瞬の後、夕充の笑い声が洞窟内に反響した。 「何言い出すかと思えば……。僕、今建由を殺すって言ったっけ?」 お前ならやりかねないだろ、とはさすがに口にしなかった。 しかし、これで最悪な状態で建由の身柄を返されることだけは、可能性からなくなった。
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