序章

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光球は夕充の手の平を放れると、建由の体をその内に取り入れるように降下していく。 建由の姿が見えなくなる頃には、光球は半分を地面に埋めた、言わば半球の形をしていた。 それからゆっくりと上昇し、元の球体に戻ると、一瞬でビー玉程の大きさになりその輝きを失う。 洞窟内には、建由の姿はなくなっていた。 まさしく先程の光球が、その内に建由を取り入れたのだ。 輝きを失った浮いたままの球を、夕充はその手の平に収める。 これで、逃げ道は完全になくなった……。 建由の身を取り戻すには、夕充の要求をのむ以外なくなったのだ。
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