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「じゃあ行こうか」
笑顔で夕充がそう言うと、聖剣を拘束していた物が消失した。
脱力していた体は、重力に従い崩れ落ちる。
跪き、起こってしまったことの重大さに、唇を噛み締めて感情を抑える。
「聖剣、早く行こうよ。建由がどうなってもいいの?」
球をちらつかせながら夕充が催促する。
答える気力もないまま聖剣は立ち上がると、夕充の元まで歩いた。
これがすべての始まりだった。
その場にいたのに、私の記憶にない出来事……。
この記憶があれば、もしかしたら避けられたかもしれない悲劇……。
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