第一章 転校生

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賑わう街に、一人の少年が誰かを探すように、辺りを見回しながら走っていた。 その姿に振り向く者はいても、声を掛ける者はいない。 声を掛けれなかったと言った方が、正しいかもしれない。 緊迫した雰囲気を醸し出し、先を急ぐ少年は、声を掛けるのも躊躇わせた。 その少年は、ある一点に視線を向けた瞬間足を止めた。 確認するように、その方向を凝視している。 少年の視線の先には、誰もいなかった。 正確には、少年が視線を向けた位置で留まっている者がいなかったのだ。
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