序章

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「聖剣(せいけん)、知ってるよね。僕が気の長い方じゃないこと」 そう言うと、男は頭上に右手を振りかざした。 「やめろ!!」 その仕草が何を意味するのか理解した「聖剣」と呼ばれた男は、止めるために駆け出そうとしたが、何かに引っ張られ元の位置から動けなかった。 聖剣は失念していたのだ。 自分が拘束され、繋がれている事を……。 「あっはははは」 男は振りかざした手を降ろすと、聖剣の行動が面白いとでも言うように、笑い声を上げる。 その声は洞窟内に反響して、耳障りだ。 「そんなに建由(けんゆ)が大事なんだ」
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