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でもね、と付け加え「学生会で活動していくと分かってくるよ。僕らも最初は右も左も解らなかったんだ。でも、時が経つと最初は解らなかったことが解るようになる。」
説明する会長は淡々としている。
「僕らは君を会計として、推薦したいんだ。君が活動をして、1・2年後には、立派な会計になれる。どうだろう?もちろん、さっきもいったけど、返事は急がなくていいからね?」
ニッコリと笑いながら言う。
俺は突然の推薦に戸惑うだけだった。
俺が生徒会室を後にした後。
会長は鷹野先輩が戻ってくるまで仕事をこなしていた。
その時。
会長は激しく咳込んだ。
職員室から鷹野先輩が戻って来ると慌てて会長のそばに駆け寄った。
鷹野先輩は手話で心配そうに「会長!大丈夫ですか?」と話した
「大丈夫…、いつもの事だから…」
「いくら会長が大丈夫って言っても…!」
「本当に大丈夫だから…涼、話しただろ?この病気…」
「わかりますが…それでは会長が!」
「でも俺は最後まで人として。学生として。会長として。最後まで生きたいんだ。」
頼む…と、言うと鷹野先輩は苦い顔をして 会長の手をひらの血を見つめていた。
鷹野先輩もわかっていた。
会長が心臓の難病を持っている事。それでも最後まで生きたいと。
それが自分の唯一の希望だと。
わかっていた。
鷹野先輩はその時は本当に悔しくて堪らないと言っていた。手も強く握っていた。
俺はそんな鷹野先輩の様子にやるせない気持ちで見つめていたことは覚えている。
俺が会長の病気を知ったのは、推薦されてから2週間経った頃だった。
「修堂院くん」
後ろから声がして、後ろに振り向くと城崎会長が手を振っている姿があった。俺はあわてふためき、会長のところに行った。
「城崎会長!」
「やぁ、今から帰るところ?」
「はい、会長は今から何を?」
「俺?俺はね~、君を待っていたんだ」
「そうなんですか~~~~ってはい?」
一瞬、会長の台詞に理解出来ず、茫然としていた。
「そうだよ?俺は修堂院君を待っていたんだ。一緒に帰らない?」
ニコッと会長は笑って言った。
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