File5

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春香の視線は、屋上にいる沙希に向けられている。 ここに秋野はいない 秋野と接触した形跡もない 今度こそ、勝てる 春香はそう確信していた。 2人の意識下では、無言のバトルが繰り広げられていた。   「弥生、屋上を狙って!!」 「え? 屋上?」   「早く!!」   「わかりましたよ」   と、弥生は屋上にいる沙希に向かって力を放出した。 弥生の顔が上を向いたとき、沙希はとっさにフェンスから大きく退いた。   春香にガードされている弥生の意識を読みとる事はできなかったが、   沙春の本能がそうさせていた。 それは、正解だった。   沙希がフェンスから離れた瞬間、音もなくフェンスが切断された。   だが、呑気に構えているわけにもいかない。   見えなくなった沙希を仕留めようと、いくつもの見えない刃が飛んできていた。
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