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春香の視線は、屋上にいる沙希に向けられている。
ここに秋野はいない
秋野と接触した形跡もない
今度こそ、勝てる
春香はそう確信していた。
2人の意識下では、無言のバトルが繰り広げられていた。
「弥生、屋上を狙って!!」
「え? 屋上?」
「早く!!」
「わかりましたよ」
と、弥生は屋上にいる沙希に向かって力を放出した。
弥生の顔が上を向いたとき、沙希はとっさにフェンスから大きく退いた。
春香にガードされている弥生の意識を読みとる事はできなかったが、
沙春の本能がそうさせていた。
それは、正解だった。
沙希がフェンスから離れた瞬間、音もなくフェンスが切断された。
だが、呑気に構えているわけにもいかない。
見えなくなった沙希を仕留めようと、いくつもの見えない刃が飛んできていた。
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