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美和町から、東に40キロ離れた場所に位置する新舞子海岸。
老父、市ノ瀬 哲郎(いちのせ てつろう)はいつものようにその沿岸の小道を犬のジョンを連れて散歩していた。
沿岸部という事もあり、その近辺の朝はたいてい薄い霧が漂っている。
その日の朝もそうであった。
市ノ瀬は足もとに注意しながら、ジョンの散歩をさせていた。
市ノ瀬の歩調に合わせてほんの少し先を歩いていたジョンが
脇の茂みに向かって威嚇のポーズをとった。
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