真っ青な空

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真っ青な空

澄み渡る秋の空.   今にも消えそうな雲が 滲んでいる.   「あなたは悲しくはない?」   「どうして?」   「だって、消えちゃいそうだよ」   「もう良いんだ。 そろそろ消えなきゃ」   雲は、 フッと空に溶け込んだ。   一粒の滴が、 私の頬を伝った.   無くした恋を 受け止めた瞬間でした.     忘れられないんじゃない.   忘れたくなかったんだ.     頬の滴が乾いた時、 秋風が髪を揺らした。   消えそうな雲が、 空に溶け込んだ時、   私の心は、 澄み渡る秋空になった.   髪に触れた秋風は あなたの手の様でした.   負けそうな時に、   「頑張って」   と、撫でてくれていた あなたの手の様でした.     消えなかった想いは、 やっと私の心に染み込んだ.    ありがとう. さようなら.
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