赤の従者

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お父様の了解を得て、私たちは町へ出た。 ツバキは私の後ろをピッタリついて歩く。 「ツバキ」 私は彼の名前を呼び、とある方へ指を指した。 そこには綺麗なガラス細工が並んでいた。 「欲しいのですか?」 私は頷いた。 「では選んでください」 私はツバキに言われ選んでいたが、あることを思いついた。 私は後ろのツバキへ振り向く。 「どうなさったのですか?」 笑顔で聞くツバキに私は言った。 「ツバキも選ぶの」 「・・・私も、ですか?」 ツバキは戸惑ったが、私のとなりに並んでひとつの髪どめを手にとった。 「これがよろしいかと」 私はツバキから髪どめを受け取った。 綺麗な赤い花のついたものだった。 「これ二つ」 私が言うとツバキは不思議そうに二つ持ってお金を払いにいった。
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