白の死神

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仕事が終わり、私は家(お城)に帰ってきた。 「おっかえりー、リリちゃーん♪」 お母様が抱きついてくる。 「・・・ただいま。お母様」 私はいつもの無表情で言った。 「ホント、あなたったらどっかの魔法使いにそっくりでムカつくわぁ」 お母様はいつも言う。 私はその『どっかの魔法使い』には会ったことはない。 けれど、「ムカつく」と言いながらも笑顔のお母様を見ると悪い人ではないとわかる。 「おかえりなさいませ。リリ様」 長髪の男の子、従者のツバキが走ってきた。 「朝食の用意はしてありますので、お部屋にお運びいたしますね」 「ありがとう。ツバキ」 お礼を言うとツバキは嬉しそうに笑った。 ツバキはいつもお礼を言うと嬉しそうに笑う。 私には何が嬉しくて笑うのかよくわからなかった。
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