白の死神

5/5
前へ
/163ページ
次へ
私はこの世界の死神の中でナンバーワンだったりする。 小さなころから立派な死神になれるよう訓練されてきた。 ナンバーワンの理由はそれだけではない。 私には感情がない。 いや、あるのかもしれないけどわからない。 だから人に同情することなく魂を運ぶことができる。 そんな私を人は 『残酷』 と言う。 残酷? 私はただ仕事をしているだけ。 何が『残酷』かなんてわからない。 「・・・リリ様」 ツバキが私を呼ぶ声が聞こえ、私は目を開けた。 そこには心配そうなツバキの顔。 「どうかなさいましたか?」 ツバキは聞いた。 「?」 質問の意味がわからない。 「悲しそうなお顔だったので・・・」 「悲しそう・・・?」 私そんな顔していたのかな? ツバキは私の微妙な表情の変化がわかるらしく、たまにこういうことを言う。 まだ心配そうなツバキ。 「大丈夫」 そう言うと、ツバキは安心したように微笑んだ。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

270人が本棚に入れています
本棚に追加