第一章 出会い

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その頃、五郎は担当させる忍を探していた。 是非、あの忍にやらせたい。 そして、ようやく見つけた。 その忍は修行をしていた。 長い黒髪を靡かせた、幼い少女だ。 木にぶら下がっている的に、狙いを定める。 目を僅かに細め、微調整をする。 続けざまに数本クナイを放つ。 見事、ど真ん中に突き刺さった。 「心」 五郎が呼び掛けると、すぐに少女―…心は振り向いた。 顔立ちは年相応には見えず、幼い。 背が同年代の子よりも低い心は、五郎を見るや駆けてきた。 「父上!」 嬉しそうに自分に抱き付こうとした心を、五郎は制した。 彼女はきょとんとし、首を傾げた。 「仕事だ」 その一言に心は気付いた。 今は父と娘ではない。 棟梁と部下なのだ、と。 「…はい。棟梁」 心が答えると、五郎は頷き、踵を返した。 心も後を追った。
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