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「高杉様、御依頼とは何でしょうか?」
歩きながら、心は高杉に問うた。
高杉は心の子供らしくない言動に戸惑いながらも話し始めた。
「井伊直弼という大老は御存知か?」
心は頷いた。
「井伊は今、尊皇攘夷派を弾圧しているのも?」
「存じております」
心は再び頷いた。
大老井伊直弼の弾圧とはつまり、"安政の大獄"である。
「俺の尊敬する師がその弾圧に巻き込まれそうなのだ。実際、度々刺客らしき者が襲ってくる」
「承知しました。貴方の師をお守りすればよろしいんですね。…貴方の師の御名前は?」
「吉田松陰先生だ」
「よしだしょういんせんせい…分かりました」
心は確かめるように松陰の名を呟いた。
そんな心を、高杉は不安そうに見ている。
言動は大人びていても、所詮は子供。
棟梁は適任と言っていたが、本当に大丈夫なのか?
そのとき、心は高杉の前に踊り出た。
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