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「…ここだ。」
お美津が立ち止まったのは回りの華やかな建物の中でもより一層目を引く外観だった。
「すごいものだねぇ…お前とは、ここでお別れなのかい?」
いささか表情を曇らせた母親が言う。
「あぁ…でも文を書くよ!だから母上も元気で…。」
お美津は母親を悲しませたくない一心で無理に笑って見せた。
しかしそれは母親をにしてみればただただ、痛々しい物でしかなかった。
「…それじゃあ…。」
お美津はくるりを背を向け暖簾をくぐり店内へと入って行った。
母親は暫く後ろ姿をみつめていたが名残惜しむように静かにもときた道を引き返していった。
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