ヤツとアタシ

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そう。ワタクシ井上千鶴は 気づけば中学から3年半も佐藤はじめに片思い 性格良し、成績優秀、スポーツ万能、友達や先生からも信頼されている 極めつけはルックスでしょ まるでマンガみたいな『できたヤツ』 それに比べてアタシは…… ダサい子ではないよ スカートだって短い方だし オシャレにも気を使ってる 友達は……少ない かな 彼を好きになったわけ? そりゃぁ あんなにカッコ良ければねぇ… 別に友だちが居ないわけじゃない ただ1人で居る方が気楽なんだ ───そんなアタシの嘘をヤツはすばやく見抜いてくれたから 昼休み、教室で1人読書をしているアタシにヤツは話しかけてきた 「ねぇ、ちょっと手伝ってくんなぃ?」 顔を上げて、本から移った視線の先が 凄く眩しく感じた 中学1年の春
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