ヤツとアタシ

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断る理由を見つけられなくて、結局アタシは手伝う羽目になった 南校舎4階にある1年1組の教室から東校舎1階の理科室までの距離を2人で歩く 昼休みだから沢山の生徒が廊下に溢れているのに 自分達の会話に夢中な女子 周りを気にしない男子 並んで歩くアタシと彼を気にとめる人など誰もいなかった しかし… 初対面って一体、何を話せばいいんだろうか 休み時間の喧騒の中で二人だけが無音だった でも話題が見つからない またひとりでぐるぐる考え始めた時、彼が口を開いた 「井上っていつも暗い顔してなぃ?」 いきなりの刺さるコメントをアリガトウ ちょっとクラッときたょ… でも 言った本人は至って真面目 「いつも一人で教室に居るでしょ」 …だから刺さるってば 否定も出来ないし、反論も出来ない ただ俯くしか出来なかった
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